天照大御神は、葦原中国(地上の世界)を治めるべく、武神である武甕槌神・経津主神の二柱を地上へつかわし、まつろわぬ国津神たちをはじめ、草木や石に至るまで平定させました。
しかしこの最強の二柱の武神の力をもってしても、従わなかった神がいました。
それが星の神、香々背男=天津甕星です。
この手強い悪神を従わせるべく派遣されたのは、倭文神(機織りの神)・建葉槌命。
二柱の神は常陸国を舞台に戦いを繰り広げ、最後は大岩と化して抵抗する香々背男を、建葉槌命が金の靴で蹴り砕いて誅伐しました。
吉福社中ではこの物語に注目し、それぞれの神のご神威を讃え、またその魅力を発信すべく、主に茨城県に鎮座する両神ゆかりの神社にて神楽奉納を行っています。
建葉槌命が主祭神として、香々背男が地主神として祀られている日立市の大甕神社では、毎年七夕の甕星祭にて神楽「香々背男」を2022年より毎年奉納しています。
また、2024年には、建葉槌命が祀られる常陸国二ノ宮・静神社にて、建葉槌命の舞を奉納することができました。
秋の例大祭では建葉槌命の機織の守り神としての穏やかで美しい一面と、禍々しい香々背男を討ち倒す勇ましい武神としての姿をともに描いたお神楽を披露させていただきました。
倭文神とも呼ばれる織物の神。
太陽神アマテラスの岩戸隠れの際も、儀式のために綾布を織ったとされている。
最後まで天津神に従わなかった星の神カガセオを打ち砕いた、武勇に優れた神でもある。
常陸国二ノ宮・静神社や、カガセオの本拠地であった大甕神社に祀られている。
カガセオを蹴り砕いたことから、健脚の神としても信仰される。
織物と星というキーワードから七夕伝説の織姫と混同されることもあるため、吉福社中では女神とみまごう容姿端麗な男神として描いている。
星の神。平定に遣わされた軍神ミカヅチ(鹿島)・フツヌシ(香取)にも従わなかった強大な「まつろわぬ神」。
巨大な岩に姿を変えたが、タケハヅチに打ち破られた。
大甕神社の地主神として祀られており、その御霊は境内の大きな宿魂石に宿っているとされる。砕け散った際に海中に落ちた「おんね様」は漁の守り神としても信仰されている。
大岩と化したカガセオを表現した、巨大で恐ろしい異形の姿。
金の靴を履いたタケハヅチに蹴り砕かれる。