隼人神楽

隼人とは古代の南九州に住んでいたといわれる民族です。
本州が弥生時代に移行した後も、縄文時代的な独自の文化を築き、神々と寄り添って暮らしていました。
大和朝廷に征服されてからも、竹細工などの工芸や呪術的な力、芸能などを以て国を支えました。

その祖神は瓊瓊杵尊の御子神・海幸彦(火闌降命)海の恵みを得る力を持ち、正義感が強く勇猛な神様です。
海神の助力を得た弟・山幸彦(彦火火出見尊)との争いに敗れ、家来として仕えることとなりますが、
その誇り高き御魂は子孫である隼人たちに受け継がれています。

 

隼人神楽は鹿児島出身者である当団代表・百合之介が、先祖である隼人を讃え供養したいという想いから立ち上げたプロジェクトです。
隼人族の勇姿を今に伝える啓蒙的演目であるとともに、大和政権に敗れた隼人族への慰霊の舞でもあります。
海幸彦を中心人物とし、隼人の勇猛さを体現した獅子舞のほか、隼人の名の由来ともされる隼(ハヤブサ)の舞、海幸彦の母神である木花開耶姫の舞、鹿児島で今も愛される田の神さぁの舞など、隼人や鹿児島に因んだ演目を組み合わせて演じます。

 

登場人物

海幸彦(火闌降尊 ホノスソリノミコト)

天孫ニニギとサクヤヒメの間に生まれた三皇子のひとり。

海幸(海の恵みを得る力)を持ち、その道具である釣り針を大切にしていたが、

弟である山幸彦に紛失されてしまい、争いとなった。

海神の力を得た山幸彦に負け、以降は皇室に仕えることとなる。

隼人の祖神として讃えられ、その御霊は父母神と共に神亀山(中陵)に眠る。
また、その霊力によって悪しきものから土地や神々を守る攘災神としても全国に祀られている。

隼人獅子舞

 

隼人族の勇猛さを表現した特別な獅子舞。
エキゾチックな出で立ちで、南国風の太鼓に合わせて踊る。

皇宮の門を警護していた隼人が、狗のように吠える声の呪力で邪気を払っていたことが「狛犬」の由来にもなったといわれており、御神域を守護する霊獣として舞台清めの舞を行う。

隼の舞

 

隼人の語源であるとされる猛禽ハヤブサの舞。

海幸彦が化身した霊鳥として、神楽面をかけかえて舞う。

木花開耶姫(サクヤヒメ)

 

 

山の神オオヤマツミの娘神にして、海幸彦の母神。

一晩で懐妊したため夫ニニギから疑われるが、産屋に火を放って潔白を証明し、海幸彦ら三皇子を産んだ。

富士山の女神として、各地の浅間神社にも奉られている。

田の神さぁ(ホアカリ)

鹿児島県各地の田んぼのあぜ道に神像として祀られている豊作の神様。

めしげ(しゃもじ)とお椀を持ち、しき(米を蒸すときの敷物)を頭にかぶった愛嬌ある姿。

吉福社中の新解釈では、ニニギの三皇子のうち海幸山幸神話に登場しない「火明命」が里の神となった姿である。

明るく少し滑稽な五穀豊穣の舞を舞う。

隼人の巫女

隼人族の巫女であり、隼人神楽の語り部。

自らも隼人の祭礼で、神懸かりして舞う。